「タンパク質は体重×◯グラム」という言葉を聞いたことがある方は多いはずです。1日の合計を計算する、あの話です。ただ、種目の違う9名の競技者をサポートしている現場では、まず合計を計算することはあまりしません。[[合計は「結果」で、設計するのは「1食あたりの量」と「置く場所」]]だからです。この記事では、その考え方を一般の身体づくりに落として解説します。
そもそもタンパク質は何のために必要か
タンパク質は、筋肉だけでなく、肌・髪・爪・内臓・ホルモンなど、身体のあらゆる材料になる栄養素です。運動をする人に限らず、毎日入れ替わる身体の材料として欠かせません。
不足すると、筋肉が育ちにくくなるだけでなく、疲れやすさや肌の調子に影響が出ることもあります(感じ方には個人差があります)。
「体重×g」の合計は、出発点にしない
厚生労働省は、一般的な成人で1日あたり体重1kgにつき約0.9gを目安としています。運動習慣のある人では、これより多めの体重×1.2〜1.6g程度が一つの目安とされています。数字そのものは、正しい目安です。
| タイプ | 目安(体重1kgあたり) | 体重60kgの場合 |
|---|---|---|
| 運動習慣が少ない人 | 約0.9g | 約54g |
| 軽い運動をする人 | 約1.2〜1.4g | 約72〜84g |
| しっかり筋トレする人 | 約1.4〜1.6g | 約84〜96g |
ただ、現場ではこの合計を出発点にしません。理由はシンプルで、同じ「1日90g」でも、夜にまとめて90gと、3食に分けた90gでは、身体の使われ方が変わるからです。合計は結果、設計するのは配分。なお、腎臓などに持病がある方は、自己判断で大幅に増やさず、医師にご相談ください。
現場の設計は「1食20〜30g × 置く場所」
HELIXが9名の競技者に共通して伝えているのは、1食あたり20〜30gを下回らせないことと、身体を動かした後の回復に合わせて1食を置くことです。合計を数えるより、この2つを先に整えます。
面白いのは、持久系(駅伝・トライアスロン)と接触系(7人制ラグビー)では、1日の合計が近くても置き方が変わることです。持久系は練習前後の枯渇を埋める配分に、接触系は身体を保つため各食の下限を高めに。同じ数字でも、配分は競技で変わります。
| 食事 | ありがちな今(一例) | 1食20〜30gに寄せる(一例) |
|---|---|---|
| 朝 | トーストとコーヒー(約5g) | 卵2個+納豆1パック(約19g) |
| 昼 | 麺だけ(約10g) | 麺+ゆで卵+冷奴(約21g) |
| 夜 | 肉をたっぷり(約40g) | 肉は控えめでも十分(約25g) |

なぜ「1食あたり」で考えると回復に効くのか
身体は、寝ている間も含めて絶えずタンパク質を入れ替えています。まとめて一度に摂るより、1日を通してこまめに材料を届けるほうが、回復や身体づくりに使われやすいと考えられています。とくに身体を動かした後は、材料が必要な時間帯です。
競技者に「練習後はなるべく早めに1食(またはプロテイン)」を勧めるのは、このためです。一般の方も、運動した日の「その後の1食」を1回だけ意識するだけで、底上げになります。
無理なく「配分」に寄せる3つの工夫
- 1
① 朝に20g台をつくる
1日で最も不足しがちなのが朝です。卵・納豆・ヨーグルトなどを組み合わせ、朝だけで20g前後を目指すと、1日の土台が変わります。
- 2
② 主食だけの1食をなくす
丼や麺だけの食事はタンパク質が不足しがちです。ゆで卵・冷奴・ツナなど、一品足すだけで1食の底が上がります。
- 3
③ 動いた日は「その後の1食」を必ずタンパク質ありに
運動やトレーニングをした日は、その後の食事を主食だけで済ませない。ここを外さないだけで、回復に使われる材料が届きます。
プロテインは飲まないとダメですか?
いいえ、基本は食事からで問題ありません。ただ、合計は足りていても朝が空っぽで夜に偏っている——という「配分の谷」を埋めたいときには、1杯足すのが手軽です。あくまで食事の補助と考えてください。
まとめ
タンパク質は、体重×約0.9g(運動する人は1.2〜1.6g程度)が合計の目安です。ただ、その合計は追いかける目標というより結果。1食20〜30gを1日に散らすことを先に整えれば、同じ量でも身体に届きやすくなります。難しく考えず、身近な食材から積み上げていきましょう。
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この記事を書いた人

相馬 拓真
代表トレーナー / NSCA-CSCS・指導歴10年
大学まで陸上短距離の選手として競技を続け、引退後はストレングス&コンディショニング(S&C)コーチとして10年。学生アスリートから40代のデスクワーカーまで、動作を起点にした指導を行ってきました。「感覚ではなく、動作から変える」がHELIXの信条です。


